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今日は木嶋先生の「卒業後の生活」という単元の補習の日だ。
木嶋先生が来る前はαとの生活の話をしていたそうだが、
今は進路の話をしている。
「俺はこの学園を卒業した後、
看護学校に行って、養護教諭になった。
Ωでも入れる看護学校があったから
パートナーの家から学校に行ってた。
αを利用するみたいだけど、
俺のパートナーは喜んでたな」
きっと木嶋先生のパートナーは木嶋先生に喜んで利用されていたんだろう。
「Ωだからって諦めることはない。
やりたいことがあったら、やってみればいい。
葉山くんは、夏のプログラムでお菓子作りに参加してたね。
例えば、調理師の学校もΩが入れるところもあるかもしれない。
Ωの発情期はもう、フェロモンを計測することで正確に始まりが分かる。
うちの学園では腕時計が教えてくれる。Ωも体質の一つって考えることもできる。
だから、Ωだから入れない学校があるのもΩに対する偏見だ。
俺たちが変えていかないといけないって思ってる」
木嶋先生は優しく語りかけてくれる。
「葉山くんがαを避けていること、保健室の先生たちも心配してる。
話せるときがきたら、いつでも相談にのる」
木嶋先生はそう言ってくれたけど、俺は何も言うことは出来なかった。
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