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3.卒業後相談会
今日はオメガ中等学園の卒業後についての相談会の日だ。
タイトルは「愛されるΩになるために」
これは1年生から半年に1度あるから俺にとっては5回目になる。
毎年、優秀なαと番った卒業生数名が招かれるという退屈極まりないイベントだった。
毎年俺は事前アンケートに「αとの生活に興味ありません」と書いている。
もちろんまた謹慎処分。
でもなんと、今年は絵本作家の優希さんが来る!
番自慢ではなく、自分自身が有名な卒業生が来るなんて、初めてのことだろう。
優希さんの作品は学園図書館にあるが、優しい文体と絵の美しさがいい!
特に植物の絵に惹かれる。
学園内では現金を持つことも制限されているから、本を買うことはできないが、
図書館にある優希さんの本は何度も読み返している。
私物を持つことも制限されていて、学園に申請しなくてはならないが、
欲しいものと言われたら真っ先にあげたいくらい大好きである。
3人の卒業生と、このイベントの企画者の学園の保健室の木嶋朔先生とのとのトークイベントが始まった。
木嶋先生は採用2年目の男性Ω。
Ωの保健室の先生はこの学園では初めてだ。
包みこんでくれるような優しい雰囲気を持つ木嶋先生に、悩みを相談する生徒も多い。
木嶋先生の司会で、ゲストは日常生活を話している。
優希さんは水色の半袖シャツとジーンズというカジュアルな服装で、首筋が隠れるくらいの長めの黒髪。
首にチョーカーをしてるが、パートナーがいないのか?
番契約はαがΩのうなじを噛むこととで成立するが、パートナーのいないΩは望まない番契約をしないためにチョーカーをしている。
周りの私語で、優希さんは八重樫グループの御曹司の家に住んでいることがわかる。
八重樫グループは国内有名企業を傘下に持つ、大グループみたいだ。
俺は知らなかったけど。
八重樫?
どこかで聞いた名前だ。
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