5.個別相談

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5.個別相談

トークイベントの後は個別相談があったが、優希さんの周りには誰も近寄らない。 イベントが始まる前の、有名人に会えるっていう興奮はどうした! 優希さんに近づいたら先生方に目を付けられるとわかってて近づくのは、俺だけか。 「あなたの本にいつも力をもらってます。ありがとうございます」 今まで優希さんの本に助けられた。 Ωであっても前を向いて生きられる。 優希さんの本は多くのΩの力になっている。 初等学園卒業前の性差診断のとき優希さんの絵本に出会えて、 苦しかった心を支えてもらった。 どうしてもお礼を言いたかった。 伝えたかったことが、ようやく言えた。 顔が熱い。 近くにいるのに、優希さんを見ることができない。 「ありがとう。力になれて本当に嬉しい」 顔を上げると優しい微笑みの優希さん。心がとろける。 俺の頬には涙が伝っていた。 優希さんがハンカチで拭いてくれた。
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