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Day 3
その日も二コラオスと帰る時間を合わせ、ちょっとだけ遠回りして私のとっておきの場所に二コラオスを連れて行った。
ここにはマリアは来ない。
そこは今は空き家になっている祖母の家の裏庭で、そこから街全体と湾、そしてキトスのある半島全体が遠くに見渡せる場所だった。
「こんな素敵な場所に連れてきてくれてありがとう。いいのですか? カタリナの秘密の場所なのでは?」
「二コラオスなら大歓迎です。たまに誰か来ないと草ぼうぼうになっちゃうし」
「そうですか。とてもいい場所ですねえ」二コラオスは街を見下ろしながら遠くに見える小さな船を指して「あれは、女性用の観光船ですね」といった。
「はい」
キトスは女人禁制だが女性も海の上からキトスを観光できる。
ただしキトスから見て船に乗っているのが女性だと分からない距離を保つ必要がある。
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