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志馬はひどく混乱していた。ここは警察署だ。宗教団体の集会所ではない。日夜、犯罪と向き合い、地域住民の安全の為に、身を粉にして働く──え、オーラ?
「明智君によると、オーラというのは、その時々の感情によって色が変わるそうだね」
「え……あ、はい……」
いやなに答えてんだ俺。これじゃ「自分オーラ見えます」と宣言してるようなものじゃないか。
「私がこの第5係を立ち上げたのはね、犯罪が起きる前に、犯罪を止めたいからなんだ」
久我警部補が第5係を立ち上げた?
犯罪を止めたい?
どこから突っ込めばいいんだ。
え、オーラ?
「さっきも話した通り、その時々の感情によってオーラの色は変化するだろう? 我々の使命は、オーラを視て犯罪予備軍を炙り出す事だ」
「………へ?」
「そんな非科学的なことを警察がやるのかって顔だな」
「えっ、あっ、いや……」
「私は明智君の研究に絶対的な信頼を置いている。何を馬鹿な事を、と由緒ある学会では歯牙にもかけられていないがね!」
いやそこ、威張るとこじゃない……。
「だが、早い段階で犯罪予備軍を炙り出せれば、痛ましい事件は減ると思わないか?」
「そ……それは、まあ……」
「だからこそ私は、親戚の七光りを最大限に利用し、この第5係を立ち上げたのだ!」
この人、威張るとこ間違ってる……。
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