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その後も久我お気に入りのコンビニやら飲み屋やら服屋やら靴屋やら、無駄な情報ばかりを叩き込まれた志馬は、ずっと張りつめていた緊張の糸が解けて疲れとなり、どっと押し寄せるのを感じた。
「あ、そうだ。ちゃんと自己紹介をしよう」
道の真ん中で、急に何を言い出すんだこの人は……。これから先、部下としてついていく自信がない。
「久我亮衛警部補、29歳、妻なし、恋人なしの可哀想な独身だ」
29か。34歳かと思った。
……ていうか、“可哀想な”って、自分で言うか? どうリアクションすればいいんだ。
「ちなみに私はオーラが見えない」
「えっ」
耳を疑った。
オーラが見えないのに、第5係を立ち上げたというのか? 確か「我々の使命はオーラを見て犯罪予備軍を炙り出す事だ」とかなんとか偉そうに言ってなかったか?
「いやあ、君が警察官で良かったよ。君がいなかったら、第5係は1年後には廃止されてただろうな」
いや待てオイ──
……完全なる見切り発車だったのか!?
「明智君も、研究なんかしてるクセに、オーラが見えない。幽霊も見たことがないと言ってたな」
あああああ。
「確か椎野君も……」
もういいこれ以上なにも聞きたくない。
「ま、これでめでたく本格的に久我班発足だ。よろしくな!」
思いきり背中を叩かれ、口から魂が抜け出るかと思った。
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