Episode 3

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「すごい! お姉さん、オーラ見えるんだ!」 「いいや、残念ながら私は見えない。けどね、オーラは絶対にあるって信じてる。それを証明したくて、今も研究を続けているんだ」 「あの、俺、見えるよ……?」 「研究? 研究って、大学で?」 「大学は卒業して放り出されちゃったからね。本当は残っていたかったんだけど」 「俺、オーラ見える……」 「お姉さんがオーラを証明できたら、幽霊の存在も証明できるかもしれないね!」 「あははっ! 私は幽霊は信じてないけど、いたらどんなだろうね。もし幽霊に会ったら、あの世の事を聞いてみたいなあ」 「あのー、もしもし? 俺──」  突如、明智が少年の手を両手で握り締めた。 「君が大きくなったら、是非とも私の研究を手伝ってくれ!」  えっ。なんだそれ。勧誘? 「いいの!?」 「勿論だとも!」  いいのか少年よ!? ていうか、ついさっきまで死ぬほど悩んでいたんじゃなかったのか!? おまえの切り替えの早さは金メダル級だな!  唖然とする志馬の前で、二人は固い握手を交わしている。少年の灰色のオーラはすっかり影を潜め、今や淡い黄色のオーラに包まれている。  恐らく彼は、このオーラが示すように、本来はとても明るく、朗らかな子どもなのだろう。少年の為とはいえ、彼の良さを圧し殺してしまう両親の「愛」は、幼い彼には重すぎた。 「お姉さん、お姉さんの研究を手伝うには、どうしたらいいの?」  手を握られたままの少年が、キラキラと目を輝かせている。志馬は呆れると同時にほっとした。 「いろいろ学ぶ必要があるぞ。脳科学、脳神経学、心理学……」 「大学に行けばいいの?」 「そうだな。大学は学ぶのに最適な環境だ」  少年は真剣な表情で、じっと明智を見つめた。そこに迷いはなく、何かを決心したかのような強い眼差しだった。 「僕、頑張るよ」
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