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がっくりと肩を落とす志馬の顔を、無オーラ王子がひょいと覗き込んだ。
「どうしたの?」
きっとこういう仕草も無意識でやってんだろうむしろ計算されてのほうが俺としちゃ好感が持てるけどでも無意識にやって似合ってるとか羨ましいっ!
「あ、ううん、別になんでもない」
「あー……、もしかして俺、馴れ馴れしくしすぎ?」
「えっ? いや──」
「よくさあ、友達とかにも怒られるんだよね。気ぃ悪くしちゃった?」
志馬は返答に詰まった。怒ってなどいない。むしろ、変な妄想してごめんなさいと謝りたい。
「ち、ちょっとびっくりしたけど……でも別に怒っては──」
「あははっ! よかったー!」
ほっとしたように、無オーラ王子は屈託なく笑った。辺り一面に鮮やかな花が咲き乱れた。
「馴れ馴れしいついでに聞いちゃうけど、トシ、近いよね?」
「えっ? どうかな……」
「俺、大学4年」
ということは、21か22といったところか。
「俺のほうがちょっと上だなあ」
「え、マジで?」
「もう社会人だし」
「いくつ?」
「24」
「なんだ、やっぱ一緒じゃん。俺、2年浪人したからさ」
富裕層のお坊ちゃんか。なるほど確かにブルジョワジィな雰囲気を醸し出している。そのTシャツにしたって、高級ブランドものなんだろう。
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