Episode 3

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 志馬とともに第5係室に戻ると、椎野が明智の机に座っていた。その姿を認めた久我の顔がぱあっと輝く。 「椎野君! 実はさっき──」 「ネットストーキングだろ? 明智が詳細にメモしてくれてる」  椎野がPCの画面をスクロールすると、まるでシナリオのように、発言者の名前とその発言内容がずらずらと表示されていく。話が途切れた箇所には、志馬の表情まで書き込まれていた。 「“鬼瓦のような顔”って、志馬、おまえはもともと鬼瓦みてえな顔をしてるが」 「はあ? なんか言ったか、くたびれた吸血鬼」 「鬼瓦だの吸血鬼だの、ろくな班じゃねぇな」 「あ、ひどい」  久我がつーんと口を尖らせる。190センチちかい、がたいのいい29歳の七三分けの男がそういう表情をしたって不気味なだけだ、と二人の鬼が冷ややかな眼差しを向ける。 「話を戻してもいいかな、鬼瓦君、吸血鬼君」 「なんだ七三」 「被害者の山崎翔子さんは、古井戸君が実家に送っている」 「その呼び方やめろ」 「山崎さんの携帯を預かった。相手はこの携帯にかけてきた」  久我が示す、およそ久我に似つかわしくないパステルピンクのケースに入った携帯を、椎野は首を傾げて見つめた。 「実際に本人を監視してるとして、携帯が他のとこにあるって事までは、さすがに判んねぇだろうな」 「ああ。何時になってもマンションに帰ってこないとなると、再度かけてくる可能性は非常に高い」 「いや、絶対かけてくるだろ」 「椎野君」 「ストーカーしてる相手の携帯に男が出たら、間違いなく刃傷(にんじょう)沙汰になるな」 「椎野君、これ、預かっといてくれるよね?」 「もしかしたらゴリラみてぇな大男かもしれない。そんなの相手に取っ組み合いとか、冗談じゃねえ」 「預かってくれるよね?」 「──ちっ」
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