3、おじさんと猫

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3、おじさんと猫

 おじさんは書斎である自室にもどると、窓を開けて  「ムーや」 と呼びかけた。  先におじさんは渉が来るまで一人暮らしだったと書いたが、あまり正確ではない。本当は、猫のムーと、ずっと一人と一匹暮らしだった。  おじさんが呼ぶと、すぐに猫が駆けてくる軽快な足音がし、「にやー」と返事があった。そして、窓から畳にとんと飛び降りた。  「よしよし、ムーや。朝ごはんだよ」  おじさんは戸棚から猫の餌とお皿をとり出す。お皿はぴかぴかに磨き上げられている。  ムーは、おじさんの足に顔をこすりつけてから、皿に盛られた餌を勢いよく食べはじめた。ちゃとらの毛並みはつやつやだ。  『猫はつんつん飯を食う』  おじさんは満足そうにムーを撫で、今日の執筆活動にとりかかった。
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