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第二食・―メインディッシュ―
数日後の晩餐は、何とも難しい注文であった。
主人がメインディッシュに脳みそを要求してきたのだ。
いくら再生出来るとは言え、全ての働きを司るモノを調理するのは、至難の業だ。
意識を失ってしまうまでに調理しなければならない。確実に時間との勝負となるだろう。
先ずは調理の支度を万全にして、一番の問題は何の料理にするかだ。
シンプルなものが良いだろう。
調味料を決めて、ステーキにしてみようか。残りはソースとして、手際良く調理してしまおう。
厨房に鏡を用意して、慎重且つ素早い手付きで頭に切れ目を入れていく。
痛みは酷いが、血液を流さないよう事前に薬を飲み手配はしておいたので、腕を斬り落とした時のような流血はなかった。
次に骨を、中身を傷付けないよう斬っていく。
意地でも意識を保てるよう、またしても歯を食い縛る。
ずるりとした感触と共に脳みそを取り出し、はっきりとした意思を保てる間に調理した。
用意が良かったため、特にミスをする事もなく、順調に作業を終え、皿に盛り付けたところで意識を喪った。
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