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酷く興奮する。
どうしてだろう。主人が満足してくれたから? それとも、最高の食事を用意出来たから?
何にせよ嬉しい。
――ねぇ。もう、機は熟しただろう。
主人が私に触れる。
目が見えない事を配慮してだろうか。つ……と手に触れると、主人の胸まで導かれる。
――大分熟したようだ。……なぁ、そろそろ食べておくれよ。
嗚呼。そうか。もう、良いのか。
力強く主人の手を握り返したところで、視界が回復する。
薄ぼんやりとした感覚から、徐々に戻っていく景色、そして目の前には、狂喜に満ちた主人の表情。
頷いた。
了承した。
はじめから、その契約であった。
だから主人に仕えていた。
だから主人を敬愛していた。
……だから、主人に最高の手料理を、惜しみなく手配していた。
早速取りかかろう。
決意からの実行は、なるべく早い方が良い。
“命”を料理するのだ。
だいこうぶつは、ソテーにしよう。
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