助手席は君のもの

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 俺は苦笑した。 「お前それ、どんな脅迫だよ」 「ふふ。脅迫だなんて失礼ですね。交渉、と言ってください」  俺はふうと息を吐き、右足に体重を掛けて立つ。十も年下で、仕事中はキツイことも言ってくるけれど。 (本気……なら)  期待と不安の入り交じったネコの眼が俺を見上げている。  ――彼女がいるのも良いもんですよ。  釜井の言葉が耳の奥で蘇り、俺は首を竦めた。知ってるさ。彼女がいるのが幸せだってことくらい。 「分かったよ」 「!!!」
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