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三話
水野「普通に投げ合うのはつまらないし、好きな物、事を叫びながら投げ合おう?」
佐々木「え?」
水野「決まり!」
俺に拒否権はなかった。
人気のない公園で男女二人の声が響く、実際声は大きく出すことが苦手な男の声はあまり響かず、女の声のほうが良く響いていた。
地面に打ち付けられた水風船は割れるものもあれば、割れないものもあった。それぞれの好きなものの名前が飛び交っていた。
少しの間で好きな人の色々な「好き」を知れて嬉しかった。時間が過ぎるのが早く感じる、この時間が終わってほしくない。
好きなものを言い終えたかのように、沈黙が流れ、ただの水風船の投げ合いが始まり、、気まずい。今、貴女が好きだと伝えれば、どうなるだろうか、そんなことを考えてしまえば落ち着きを取り戻していた胸の高鳴りが大きくなる。
だけど、言い出せない、言ってしまえば地面に落ちて弾け割れた水風船のように俺の心臓が爆発してしまうだろう。だからこの気持ちはずっと秘密。
水野「ねぇ、佐々木君」
彼女が次に発した言葉、告白に何が起きたか分からなくなる、飛んできた水風船が身体にぶつかり弾け、制服を濡らした。
佐々木「あ。」
水風船が弾けた。
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