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出会い
それまでの私は幸せ…だと思っていた。
いや、間違いなく幸せだった。
総ては父親から与えられた物ではあったが、子供が父親に甘えて、甘やかされて、可愛がられて幸せでいる事に、私は何も悪いとは思わないしそれでいいとさえ思う。
それは今も変わらない。
それでも総てを棄てて来たのは、今までの自分を消してしまいたいから。
何もかも失くなってしまった方が楽になれると思ったから。
総てを棄てて、遠くへ来た。
守られていただけの自分はもういない。
これからは自分で自分を守るんだ。
その決意がすぐに否定される。
見知らぬ駅で降りて、時間は6時で、薄暗い位なのに絡まれている。
二人組の20代の男性。
シラフなのに、断ってもしつこい。
既に心は折れそうになっていた。
不安でいっぱいだった。
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