出会い

6/6

2906人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ
「うん、私ね、…」 言いかけて、向こうの部屋からノートを持って来た。 「これ、初川 麻里 はつがわ…あさと。本名ね。店ではマリー。」 「ああ、マリー。なるほど…。」 感心した。 「あんたは?」 「あ、白石蕗 音、」 ペンを受け取り、ノートに名前を書いた。 「しらつわぶき、おと、です。よろしくお願いします。」 「私、25だけど、ハタチは過ぎてるって言ってたわよね?」 「3月に短大を卒業して、6月が誕生日です。もうすぐ21です。」 「取り敢えず、誘拐犯にはされなくて良さそうね?成人だもの。 よろしくね。もう一回寝るわ、一時頃起きるから好きにしてて?煩くても気にならないから。」 ベッドのある奥の部屋に行きかけて振り向く。 「あ、部屋、玄関の右、物置になってるの。 隅に片付けてまとめて、起きたらやるわ。布団位は敷けると思うから。 狭いから悪いけど、そのかわり家賃いらないから。 じゃあ、おやすみ。」 「おやすみなさい。」 (捨てる神あれば拾う神あり。) そう思い、この出逢いに感謝した。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2906人が本棚に入れています
本棚に追加