七夕の夢

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小さな頃から大事にしていたその人は、余りに綺麗で可愛くて、少し酔った俺を夢中にさせるには十分だった。 夢中で愛撫して、音の声が聞こえて身体が反応すると、余計に興奮した。 夢にまで見た人が腕の中にいる。 この幸せは手放せるものではなかった。 天使の様な彼女を汚したくないと言いながら、思いながら、一度触れてしまえばもう止まらなかった。 音の考えや気持ちなど、頭に浮かびもしなかった。 目の前の音に、ただ夢中になった。 多分、こんなに長く愛撫するのは初めての事で、夢中になり過ぎて、音が息苦しそうに息を吐いた事に気が付いた。 そこで少し頭が冷えて、音の顔を見た。 キス以外で…初めて目が合った。 「颯……。」 名前を呼ばれて我慢が効かなくなった。 ゴムもないのに、自分の物を、音の大事にしていた部分に押込む。 冷静さを失っていたと思う。 「……っつ……んっ……。」 その声に、音の顔を見る。 辛そうに顔を歪めて唇を噛んでいた。 音が辛い事には耐えられなくて一瞬、引く。 「颯…初めてじゃ、ない…から…気にしないで?」 涙目で音が言う。 それを聞いて頭に血がのぼる。 (誰とだ?あの男か?俺が知らない間に、俺が大事にしてきた音が…。他の男の物になってた…。) 我慢出来ずに、無理矢理に押し込んだ。 音の身体が反り返る。 痛いんだと、思ったけど、止まらないし、止められなかった。 夢の中にいるようで幸せと嫉妬で、余裕はなかった。 シーツを握りしめていた音の両手が、俺の体に伸びて、抱きしめる。 その行動が可愛くて仕方なくて、動きは止められない。 辛そうな顔をしていても…それさえも可愛い。 何度も愛していると伝えて、何度も唇を重ねて、何度も抱きしめた。 音の反応で、俺の身体は喜び、何度も音を求めた。 3回も逝き、音の横に倒れた。 何度抱いても、愛撫してもキスをしても音は全てを受け入れた。 夕陽が沈んで夜だなと、思うと、隣に音がいなくて上半身を起こした。 音はスマホを操作しながら、俺を見て笑う。 「連絡だけしたの。颯はいいの?ここに彼女は来ないの?」 音がベッドを軋ませて、俺の横に座る。 「来ない…。」 来るわけがない。 きちんと終わらせたんだ。 妊娠なんて嘘に決まってる。 考えていると、音の唇が触れる。 耳元で囁かれる。 「まだ…したい。颯が欲しい。」 その言葉でまた理性が消える。 強引に唇を奪うと、音は俺の口に手を当てて、テーブルからコップを取った。 「飲んで?喉、乾いたでしょ?」 「いや…。もう、それ冷えてないし…。」 拒否をすると、音は自分の口に含んで、唇を重ねて来た。 ぬるいワインが喉を通った。 こんな物は、拒否出来るはずもない。 「美味しいでしょ?」 優しい表情で、可愛い顔で、天使の笑顔で、いつそんな事を、誰に教わったんだ……。 唇を奪うと、また押し倒した。 嫉妬心が湧き上がれば、欲情は加速した。 何度も何度も抱いて、音に夢中になって、何度も音の中に出した。 音は何も言わず、その度に俺を抱きしめた。 抱きしめられながら音の顔を見る。 辛そうな顔から、感じている顔に変わっていてそれがまた俺を喜ばせた。 「音、愛してるよ。」 何度も繰り返した行為と同じだけ、言った言葉には一言の返事もなかった。 俺はその夜、少しのクラクラと、ボーっとした頭で、最愛の女性を滅茶滅茶にした。 今まで我慢していた欲望を全て流し込んだ。 朝になり、重たい頭で目覚めた。 もう、そこに音はいなかった。 夢を見ていたのかと、暫く、茫然としていた。
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