2951人が本棚に入れています
本棚に追加
小さな頃から大事にしていたその人は、余りに綺麗で可愛くて、少し酔った俺を夢中にさせるには十分だった。
夢中で愛撫して、音の声が聞こえて身体が反応すると、余計に興奮した。
夢にまで見た人が腕の中にいる。
この幸せは手放せるものではなかった。
天使の様な彼女を汚したくないと言いながら、思いながら、一度触れてしまえばもう止まらなかった。
音の考えや気持ちなど、頭に浮かびもしなかった。
目の前の音に、ただ夢中になった。
多分、こんなに長く愛撫するのは初めての事で、夢中になり過ぎて、音が息苦しそうに息を吐いた事に気が付いた。
そこで少し頭が冷えて、音の顔を見た。
キス以外で…初めて目が合った。
「颯……。」
名前を呼ばれて我慢が効かなくなった。
ゴムもないのに、自分の物を、音の大事にしていた部分に押込む。
冷静さを失っていたと思う。
「……っつ……んっ……。」
その声に、音の顔を見る。
辛そうに顔を歪めて唇を噛んでいた。
音が辛い事には耐えられなくて一瞬、引く。
「颯…初めてじゃ、ない…から…気にしないで?」
涙目で音が言う。
それを聞いて頭に血がのぼる。
(誰とだ?あの男か?俺が知らない間に、俺が大事にしてきた音が…。他の男の物になってた…。)
我慢出来ずに、無理矢理に押し込んだ。
音の身体が反り返る。
痛いんだと、思ったけど、止まらないし、止められなかった。
夢の中にいるようで幸せと嫉妬で、余裕はなかった。
シーツを握りしめていた音の両手が、俺の体に伸びて、抱きしめる。
その行動が可愛くて仕方なくて、動きは止められない。
辛そうな顔をしていても…それさえも可愛い。
何度も愛していると伝えて、何度も唇を重ねて、何度も抱きしめた。
音の反応で、俺の身体は喜び、何度も音を求めた。
3回も逝き、音の横に倒れた。
何度抱いても、愛撫してもキスをしても音は全てを受け入れた。
夕陽が沈んで夜だなと、思うと、隣に音がいなくて上半身を起こした。
音はスマホを操作しながら、俺を見て笑う。
「連絡だけしたの。颯はいいの?ここに彼女は来ないの?」
音がベッドを軋ませて、俺の横に座る。
「来ない…。」
来るわけがない。
きちんと終わらせたんだ。
妊娠なんて嘘に決まってる。
考えていると、音の唇が触れる。
耳元で囁かれる。
「まだ…したい。颯が欲しい。」
その言葉でまた理性が消える。
強引に唇を奪うと、音は俺の口に手を当てて、テーブルからコップを取った。
「飲んで?喉、乾いたでしょ?」
「いや…。もう、それ冷えてないし…。」
拒否をすると、音は自分の口に含んで、唇を重ねて来た。
ぬるいワインが喉を通った。
こんな物は、拒否出来るはずもない。
「美味しいでしょ?」
優しい表情で、可愛い顔で、天使の笑顔で、いつそんな事を、誰に教わったんだ……。
唇を奪うと、また押し倒した。
嫉妬心が湧き上がれば、欲情は加速した。
何度も何度も抱いて、音に夢中になって、何度も音の中に出した。
音は何も言わず、その度に俺を抱きしめた。
抱きしめられながら音の顔を見る。
辛そうな顔から、感じている顔に変わっていてそれがまた俺を喜ばせた。
「音、愛してるよ。」
何度も繰り返した行為と同じだけ、言った言葉には一言の返事もなかった。
俺はその夜、少しのクラクラと、ボーっとした頭で、最愛の女性を滅茶滅茶にした。
今まで我慢していた欲望を全て流し込んだ。
朝になり、重たい頭で目覚めた。
もう、そこに音はいなかった。
夢を見ていたのかと、暫く、茫然としていた。
最初のコメントを投稿しよう!