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新婚旅行に行く律さんを見送る前に少しだけ時間をもらった。
奏も呼んで、菜々さんには先に行ってもらう。
「時間ないぞ?手短にな?」
律に言われて、颯は昨日の事を話す。
「音と、妹さんと昨夜、寝ました。すみません!」
「はぁ?」
胸ぐらを掴まれて、案の定、奏が切れる。
「奏!お前ね?自分は適当に遊んでて、親友にその態度は良くないよ?」
律に言われて、奏は手を放した。
「合意だろうな?」
と、睨まれる。
「それは、もちろん。というか、音の方から…来たんだ。
話をしていて…。それで、すぐにでも迎えに行きたいけど、事情があって行けなくて…。」
「迎えって、音、帰ったの?」
「はい。」
「やり逃げする女っているんだ…。さすが俺の妹。」
「奏……。」
呆れた様に律は言い、疑問を颯にぶつける。
「そもそも、話し合いでそこにいたんだよね?しかも、音は彼氏と一緒に来てた。朝まで帰らなくて彼氏は何とも思わないのかな?」
「途中でメールはしてました。俺も彼女に連絡はしなくていいのかと聞かれたので…。」
「誰?颯、彼女いたの?」
「いない、音が飯塚円佳に御手洗いで会ったらしくて、彼女妊娠してるって聞いたらしくて…まだ俺が付き合ってると思ってるみたいです…。」
「はぁ?冗談だろ?一夜限り、しかも酔ってるから一発、ゴム使ってたんだろ?」
「起きたら使用済みがあった。」
「じゃあ、ないだろ?」
「奏、ちょっと下品だぞ。使っていても、彼女ならどんな手でも使いかねない。音に会いに行く前にそこはきっちり話をした方がいいね。
2月だったよね。それなら5ヶ月に入る位だ。堕胎は無理かもしれない。」
「じゃあ、音はどうなるんだよ。」
「彼氏がいる。一夜限り、そう思ってるかもな。
少し気になって、彼氏も調べさせてる。旅行から戻る頃には分かるから、颯君も音を諦められないなら、飯塚さんのお腹の子の事、対応してね。
相談にも乗るし、応援もするけど、ただ、俺は音の兄だから、最終的には音の気持ちを優先させる。」
「はい。すみません、晴れの日に…。」
「音が来てくれる様に早めた式だし、音が合意の上でそうした事ならそれでいいよ。遅いくらいじゃないか?許嫁で、本当なら式は終わってるんだしね。」
俺の罪悪感を少し軽くして、律さんは新婚旅行に旅立った。
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