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「ねぇ、次の休みデパート行かない?」
マリーが楽しそうに言う。
「どこの?」
「大阪……。」
「新幹線じゃない。」
「あら、これだから新幹線で来た子は…。新幹線じゃなくても行けるわよ?
そんなに時間もかからないし、乗り継ぐけどね。」
「行こうかな?楽しそう…。」
「そう言うと思ってた。ドレス買おうねぇ?」
「選んでね?」
上目遣いでマリーを見る。
「もう!可愛い子!!」
抱きしめられて潰される。
「マリー……苦しいってば……。」
くすくす笑い、音もマリーに抱き着いた。
抱きついたまま、聞く。
「でも、何で大阪なの?大きなデパートはもう少し手前でもあるのに…。」
「個人のお店とかに一点物が多いのよ。掘り出しものね?値切りも可能だし、色もデザインも派手な物が多いの。」
言われて、マリーの普段着を思い浮かべる。
黄色のズボン、タイトなスボンは色違いでも色彩鮮やか。
ジャケットも同様。
レギンスは柄物が多く、スカートはふわっとした物は花柄が多い。
タイトなスカートと、ワンピースは落ち着いた色が多い。
「いつも大阪に買い物に行くの?」
「そうね?洋服はほとんど。賑やかよ?大柄な女が居ても目立たないの。」
「………。」
「あら?なに?音、どうかした?」
「割とね?ちょっとね?」
音の言葉にうんうん、とマリーは頷く。
「迷子になりやすいのね?マリーの身長…私には凄く助かるんだけどな…。
目立たないと、少し不安かな…?」
「もう!可愛い子!大丈夫、おてて繋いで行きましょうね?
音も普段着買うといいわ。お給料出たでしょ?」
「うん、楽しみだよぉ〜〜。」
マリーにスリスリと抱き着く。
(本当にこんな可愛いんだから、今頃、心配してるわよね……。)
お金持ちとは聞いたが、家のことを音は詳しくは話さない。
白石蕗、は珍しい名字だし、探せば見つかるかもしれない。
連絡くらいはしてあげるべきかと考えたが、21歳、成人、自分も家出した事を考えると、連絡などしたくないのは明らかで、マリーはいつも悩んでいた。
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