家出からひと月

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「ねぇ、次の休みデパート行かない?」 マリーが楽しそうに言う。 「どこの?」 「大阪……。」 「新幹線じゃない。」 「あら、これだから新幹線で来た子は…。新幹線じゃなくても行けるわよ? そんなに時間もかからないし、乗り継ぐけどね。」 「行こうかな?楽しそう…。」 「そう言うと思ってた。ドレス買おうねぇ?」 「選んでね?」 上目遣いでマリーを見る。 「もう!可愛い子!!」 抱きしめられて潰される。 「マリー……苦しいってば……。」 くすくす笑い、音もマリーに抱き着いた。 抱きついたまま、聞く。 「でも、何で大阪なの?大きなデパートはもう少し手前でもあるのに…。」 「個人のお店とかに一点物が多いのよ。掘り出しものね?値切りも可能だし、色もデザインも派手な物が多いの。」 言われて、マリーの普段着を思い浮かべる。 黄色のズボン、タイトなスボンは色違いでも色彩鮮やか。 ジャケットも同様。 レギンスは柄物が多く、スカートはふわっとした物は花柄が多い。 タイトなスカートと、ワンピースは落ち着いた色が多い。 「いつも大阪に買い物に行くの?」 「そうね?洋服はほとんど。賑やかよ?大柄な女が居ても目立たないの。」 「………。」 「あら?なに?音、どうかした?」 「割とね?ちょっとね?」 音の言葉にうんうん、とマリーは頷く。 「迷子になりやすいのね?マリーの身長…私には凄く助かるんだけどな…。 目立たないと、少し不安かな…?」 「もう!可愛い子!大丈夫、おてて繋いで行きましょうね? 音も普段着買うといいわ。お給料出たでしょ?」 「うん、楽しみだよぉ〜〜。」 マリーにスリスリと抱き着く。 (本当にこんな可愛いんだから、今頃、心配してるわよね……。) お金持ちとは聞いたが、家のことを音は詳しくは話さない。 白石蕗、は珍しい名字だし、探せば見つかるかもしれない。 連絡くらいはしてあげるべきかと考えたが、21歳、成人、自分も家出した事を考えると、連絡などしたくないのは明らかで、マリーはいつも悩んでいた。
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