エピソード 1

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エピソード 1

きょうで3日めの朝を迎える。 空腹も限界だ。 わずか一滴の水にもありつけていない。 このままでは、あす? いや、きょうにも命が尽きるだろう。 きのう、 あのチャンスを逃したのはマズかった。 巨大な獲物。 そう、山のような生物。 全身、白い毛で覆われていた。 とても凶暴だった。 あの生物を捕獲できなかったのは、 どうにも俺らしくなかった。 あいつさえ仕留めていたら、 こうして死の恐怖を味わうこともなかった。 ん? きのうの生物よりも、でかい奴がいる。 あれは何だ? 不思議な形をしている。 タテに長い。 長いというか、高い。 やたらタテに高い。 なにより、毛がない。 てっぺんに、ちょこんと毛があるだけだ。 何だあいつは? 動きは、ゆっくりしている。 緩慢な動きだ。 注意力も散漫のようだ。 攻撃力も、大したことはなさそうだ。 よし、 あいつをターゲットにしてみるか。 俺は、奴にそーっと近づいた。 奴の体に手が届いた。 ガブッ!! 思いっきり、奴に噛みついてやった。 突然、 俺は全身にものすごい風圧を感じた。 と思った瞬間、おれの体は無残に潰れた。 奴は、潰れた俺を見ながら言いやがった。 「やーね、蚊って。 夏は大好きだけど、蚊だけはホント大っキライ!」 マルチーズのモコちゃんが、 ひと声、ワンと鳴いた。 終わり
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