エピソード 4

1/1
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/23

エピソード 4

俺は、もう何年もこうして街角に立ってる。 いや、何十年か。 俺かい? 俺の稼業は、仲介屋だ。 しかしな、 俺を頼ってくる者も、 近頃ではずいぶん少なくなった。 昔の俺は、 よく、恋の仲介をしたもんだ。 俺のおかげで成就した恋は、とっても多かった。 俺を頼りにした奴は、恋も成功した。 俺の仲立ちで、結婚した夫婦。 俺のあっせんで、仲直りした家族。 数えたら、キリがない。 ところがどうだ。 最近の奴らは、俺のことなんか見向きもしねー。 あんなに頼っておきながら、 その恩を忘れちまってる。 年1回の新春懇親会すら、欠席とくらぁ。 言いたかないが、 世間の人情も薄れちまったな。 ま、世の流れだから、 俺ごときが愚痴を言ったところで、 何も変わらねーがな。 いまの俺の楽しみはな、 俺のささやかな楽しみはな、 日に3~4回、 俺のお腹をやさしく撫でにきてくれる、 赤色の兄(あん)ちゃんだけよ。 あの兄(あん)ちゃんだけは、 俺にやさしくしてくれる・・・。 きょうも待ってるぜ、郵便局の兄(あん)ちゃん! 終わり ( これもネタバレ )
/23

最初のコメントを投稿しよう!