4.ハナミズキ

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 私が来ている曜日には、読書の時間を設定している。  クラス全員で図書室に借りに来る。  今日も、4年1組が、全員でやってきていた。  担任の先生は、なかなか手の出ない人に、「これなんか、どう?」とすすめていた。  そして、借りようと決めた本は、先生に見てもらっているようだった。 「これは、ふりがながついてるけど、意味がわからなくて、難しいんじゃないかな」  やっと子どもが選んできた本をどうして、難くせつけるのだろう。 「読めるの?」  それは、無いんじゃないのか。  難しそうでも、がんばれば読める。  子どもは、不思議なもので、自分のわからないところも、さーっと流して読んでいくものだ。  その時に理解できない言葉も後になって、 「ああ、そういうことだったのか」とわかったりする。 それに、本当に知りたいと思ったら、辞書も引くだろう。それは、それでいいことだと思う。  何より、子どもの読もうとする心を削いではいけない。  その時に完読できなくても、いいじゃないか、人生長いんだし、などと思った。
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