5. エゴノキ

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 また、ある日。  私は、給食の時間になっていたけれど、窓飾りの作り物の片づけをしていた。  準備室から戻ると、カウンターのところに、中村さんがいた。 「え? もう昼休み?」  時計を見ると、まだだった。 「中村さん、もう給食食べたの?」 「食べました。これ……返します」  返す時には、カードに返却印を押さないといけない。それは、職員室にある。 「おもしろかった? えっと、返却印が今、無いんだ。じゃあ、これ押してあげる」  私は、自分のポーチからシャチポンを取り出すと、カードに押した。 「ペンで書いたら、自分で勝手にしたみたいだからね。赤木さんがいる時に、ちゃんと返しましたの印ね」  中村さんは、カードをじっと眺めている。 「あ、ごめん、嫌だった?」  中村さんは、首を横にふった。そして、うっすら笑った。  さっきの本を棚に返す。その「デルトラ・クエスト」シリーズの他の本を借りていくようだった。  何だか、訳ありのようだけど、図書室のきまりは言っておかないと、と思う。 「中村さん、今は私がいたからいいけど、今度は大休みとか、昼休みとか、当番がいる時に来なさいね」 「はい、わかりました」 「うん。ああ、お腹すいた。私、まだ給食食べてないの。職員室行くけど、まだ、ここにいる?」 「えっと……は、はい」  私は気になったが、空腹には勝てなかった。
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