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また、ある日のことだ。4時間目ももう終わろうとするころだった。
職員室に入ろうとすると、その戸が勢いよく開いて驚いた。教務の大川先生だった。
「ああ、失礼した」
そう言うと、ろうかを走っていった。いつもは、職員室の前を走る子たちを注意しているのに、走っているのだ。何ごとだろうと中に入った。
「じゃあ、篠田先生は寺前方面を見て来てもらえますか」
教頭先生が、体育の篠田先生に指示している。
私は事務の春野さんに聞いてみた。
「何かあったんですか?」
春野さんは、困ったように眉を下げた。
「4年2組の中村さんが、教室から飛び出したの」
「え? でも寺前方面て」
「うん、校庭走ってつっきって、いなくなってしまったって」
「え? 何か教室で嫌なことがあったんですか?」
春野さんは、更に眉を下げる。
「さあ、そこのところは、まだ聞いてないけど。何か最近、教室から出ること多かったらしいよ」
確かに、図書室にも来ていた。
そわそわしながらも、給食を食べた。
先生方が交代で探しているがみつからないようだった。
「昼休みには、八幡山まで行ってみなあかんな」
八幡山は、大休みのマラソンにも使う。子どもが足を踏み入れるのに、戸惑う山ではないのだ。
しかし、昼休み、掃除の時間を使っても、中村さんは見つからなかった。
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