2.マメザクラ

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 なかなか、読む本が決まらない子に「これは、どう?」とすすめてみた。  すると借りてくれて、その時間中、熱心に読んでいた。  気を良くして、違うクラスが来た時にすすめてみた。  その子は大人っぽい女の子だった。すると「いらない」と言われた。  この辺の本は、2年生の時に読んだと言う。借りたい本は、みんなほかの人が借りているらしい。でも私がすすめると、「いや」と言う。  私もそうだったので、よくわかった。あまのじゃくというほどでもない。ヒントは欲しいが、自分で選びたいのだ。こういう子は、自分でどんどん読むので、自分の基準ができてくる。そして、ちゃんとおもしろい本にたどり着く。  小学校の図書室は、小学生向きにそろえてある。何から読んだっていいんだから、と思った。    調べ学習でも、クラス単位でやってくることが分かった。  担任の先生が、時間を指定して、こういう学習をするので、と伝えてくれることがあった。すると、こちらの心も、本も準備が整う。  しかし、いきなりどどーっとなだれ込んでくることもしばしばだった。  そして、そういうクラスに限って、担任の先生はついてこない。  パソコンで調べている班と、図書室で調べる班に分かれるらしい。  それでも、一言あれば準備ができるのに、と不満に思った。    先日も6年生が、いきなり調べ学習にやってきた。 「失礼しまーす」「こんにちはー」  どやどやと駆け込んできて、我さきにと、目当ての棚に飛びつく男子もいた。  何を調べに来たとか、言うでもない。横から見たり、テーブルに出している本を見て、当たりをつける。 「金閣」や「東大寺」という項目のページを開いている。 「修学旅行のこと、調べてるの?」  近くにいる女の子にたずねる。  その子は「え? あ、はい、そうです」と言って、また、友だちと1さつの本をいっしょに見合っていた。    これだ、と自分から見当をつけて本を選び出す子がいる。  そうかといえば、端から私を当てにしている子もいた。  索引の利用の仕方がわかっていない子がいたり、全然違う地域、時代の本を手にしている子もいた。    初めは様子を見ていた。  ヒントを出して、探す手がかりにしてもらったり、それでも、うろうろしている子には、ページを開いてあげたりした。  そこまでしなくてもいいのかな、とも思ったが、短時間で調べなくてはいけないはずだ。選び出すまでの時間がもったいない。    3クラスのうち、あと2クラス来るなら、関連の本を出しておいた方がいいのかな。でも本来は、書架から選び出すところから、学習なんだろうと思った。 
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