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この学校では、コンピュータを導入していない。昔ながらの読書カードを使っている。一人一人のカードがあり、借りた本のタイトル、借りた日付を書き込むようにしている。
新しいカードは、各担任に配布した。名前のゴム印を押してもらって、図書室に戻してもらった。
それから、代本板というものを使っている。私が小学校の時も使っていた。
それにも個人の名前が書いてある。本と同じぐらいの厚みがある。
それを借りた本を取り出したすき間に入れておく。そうすると、返す時にその本がどこにあったか、わかる仕組みだ。私の時は木製だったが、ここでは、プラスチック製だ。
3年生以上の貸出は、もう先週から始めている。
青葉小では、1年生の間は、学級文庫しか借りないようにしている。
これも、提案しなければと、思っている。娘は2年生になるが、1年生の時に学校の本をよく借りてきて読んでいた。
娘の学校も、カード方式だ。取扱い方さえ説明すれば、1年生でも十分できると思う。
2年生の準備は、代本板の名前書きだ。ビニールテープに書き込み、それを側面に貼る。3クラス分済ませてある。
貸出のオリエンテーションが必要だ。
そのレジュメも作成した。けれど、人前で話すのは初めてだ。
読み聞かせの時は、本を見ながらなので、子どもを見渡す余裕もある。
さあ、どうなることだろう。
ここから一番近い教室は、特別支援クラスの「クスノキ学級」だ。
ここの子どもたちもよく、クラス全員で図書室にやってくる。全員と言っても、6人だけど。
職員室で隣の席の生活サポーターの安田先生は、ほとんどこのクラスに張り付いている。
「はい、本バックから本出して! 順番に並ぶ!」
安田先生は、もともと、美術の先生とのことだった。
「せんせー、はんこおしてー。あ、黒いのだって! 1週間たたないでちゃんと返す時は、黒いのだって! 赤いのは遅れた時。まちがえたらあかんのよー」
カウンターに、身を乗り出してくるのは、3年生の雨宮壮太さんだ。
「よく知ってるねー。そうやったんやね」
壮太さんは、にかあっと、顔全部で笑う。
「赤木先生は、この間来たばっかりやから、知らんこともあるのよ」
安田先生が、壮太さんをカウンターから引っ張り下ろす。
「そう。だから、壮太さん、教えてな」
壮太さんにつられて、私も笑顔になる。
すると、壮太さんはまた、にかあっと笑って、「うん!」と言う。
「こーら、はいでしょ」
「はーい」
そして壮太さんは、お気に入りの「かいけつゾロリ」を借りていく。
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