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緩やかな流れの川は、太陽の光が反射して輝いていた。
割り箸にタコ糸をくくりつけた手作りの竿に、スルメを付ける。
その場にしゃがみ、それを川へと垂らした。
次第に日が高くなる。
一向に何も掛かる気がしなかった。
「おい、何やってんだ?」
諦めて帰ろうかと思っていたとき、聞きたくない声に呼ばれた。
「お前、ザリガニ釣り初めてだろ」
友明が笑いながら言う隣で、真理と可奈子がこちらを見てコソコソと笑っていた。
大人しい良太は、その後ろでこちらを見つめていた。
「こんな時間に釣れねーよ。夏は・・・」
その時、川の向こうの草むらから視線を感じた。
あの生き物が、また頭を両手で抑えて草の影から覗いていた。
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