群青の空

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人は驚きと恐怖が過ぎると、声も出ないらしい。 私が腰を抜かして尻餅をついたのと同時に、その頭でっかちの生き物も飛び上がりそうな勢いで後退りした。 「な・・・何っ?!」 何故か同じように驚く姿に、余計に得たいの知れない恐怖を感じた。 声を振り絞るも、喋る様子はない。 まだ震えている足で何とか立ち上がり、一歩後ろに下がる。 するとその生き物は、恐る恐るこちらに一歩進んできたではないか。 「ひっ!」 思わず変な声が出た。 人間でもない、こんな変な動物が居るなんて聞いたこともない。 何かわからないその生き物は、私というより、私の足元をじっと見ている。 「な、に・・・?」 目線の先を見ると、私が落とした砂だらけのホームランバー。 「ま、まさかこれ・・・?」 すると凄い勢いでこちらを見上げた。 「なに!?」 真っ黒の大きな目でじっと見つめてくる。 「あげる!あげる!どうぞ!」 ジェスチャーを加えながらそう言い、逃げたい一心で走り出した。
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