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第6話 ルール
部屋に湊音と悠子が入ってきた。スケキヨはサッと座布団から降りた。空気の読める猫だ。
悠子は座布団に座り、俺のいる仏壇の前で手を合わせてくれた。
「……今度は彼と来ます、お父さん」
おう、来てくれよ。まぁあいつは何回かここに来てくれてんだが全く悠子と付き合ってるとか報告なかったしなぁ。
それにお腹に子がいるのか。見た目じゃわからないから……まだわかったばかりだろう。
ああ、この時にスケキヨにのり移れないのか?
湊音も、横に座って手を合わせてくれた。
「来週の剣道全国大会、うちの学校優勝しますように」
俺は神社でなければもちろん神ではないが、見守ってるぞ。お前と冬月くんに部を任せたもんな……。
そして、二十年近くお前が悠子を育ててくれた。ありがとう。血は繋がっていないのに……立派に父親として……
「そいや悠子、桐生くんも今度の試合OBとしてくるんだよな?」
「うん。その試合終わったらまた……」
「今度は僕はついていかないから。二人で報告しに来たらどうだ。」
剣道部主将であった桐生……社会人になってでも地元の道場で剣道を続けていると聞いた。
確かにあいつは強かったが俺に勝ったことはない。
……最後にもう一回くらい試合をしたかった。もう叶わぬ夢なのか。
だってスケキヨは猫だしなぁ。猫は無理だ。んー、んー……三葉はなぁ、経験なしだし。誰かいないか?
……湊音!!!そうだ、湊音に……乗り移れば……
いや、湊音は桐生に勝ったことないしな、その間に湊音の魂はどこにいくんだ?彼の生活に支障をきたしてはいけない。スケキヨの時はスケキヨの魂はどこに行ってたんだ?
んんんん……。
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