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第74話 みんなで踊ろう
!!!!
まぶしいっ、天国ってこんなにまぶしいのか?ん、あれっ?式場に戻ってる。
腕は握られた感触は残ってるのだが……ん、んん!!
「危ないところだったね」
今俺の腕を握ってるのは美守だった。俺を触れるのか?!
いや、気のせいだった。見渡すと三葉たちもいたし、高砂には悠子たちが座っていた。
「おじさん、さっき消えかかってたよ。」
まじかよ……母さんが出てきたのは夢だったのか?なんだったのか?手が震える感覚がある。
俺はどうしてここに戻れたかを美守に聞こうとした瞬間……
「それでは、新郎のご友人様による余興です。皆さま、後方ステージをご覧ください!」
と司会者の明るい声の後に大きくBGMが流れる……。
氣志團の結婚闘魂行進曲「マブダチ」。
桐生の剣道部の仲間、顧問のシバたちがステージや会場の所々に散らばり踊り始めた。
……おおお、余興始まったな。湊音のサプライズは上手くいくのか?
「楽しそうじゃんー僕も踊っちゃおっかなー♪」
と、いつのまにかお酒によってへべれけになった倫典が立ち踊ってる。途中合いの手を一緒にやったりして……やけになってないよな?三葉も苦笑いしながら携帯で撮影していた。
遠くのバーカウンターでも李仁が他のスタッフと一緒に踊りだす。
すると何人か歌を知ってる人たちが次々と立ち上がる。もう大盛り上がり。
桐生も悠子も嬉しそうだ。俺も勝手に体が動く。見えないかもしれないけど悠子と桐生の門出に……
「僕も踊っちゃおー」
おう、俺の踊りを見て踊れ!美守も俺を見ながらたどたどしく踊りだす。
「あら、美守も踊れるの?あんた生まれてない時の曲なのに。私も踊るー!!!」
美帆子も踊りだす。少し涙浮かべ、
「悠子ーっ!!!」
と叫ぶと、悠子がそれに気づき手を振る。
もう会場一体が大盛り上がりだ……が、湊音は俯いている。まだ泣き止んでない、バカか。
おい、もうすぐ出番だぞ!悠子の父親だろ!いつまで泣いてるんだ!血は繋がってなくても……お前は悠子を二十年近く育てたんだろ?
って、俺はこの状態だと動けない……美守!美守!
「おじさん、悠子ちゃんのパパのところに行けばいいの?」
ああ、たのむ。
すると……湊音が立ち上がってステージに駆け上がると歓声が上がった。泣いて目が真っ赤だが一生懸命笑顔になってシバやみんなと一緒に踊る。
俺は美守と目を合わせて笑った。
そして大盛り上がりのまま披露宴は終わった。悠子たちの幸せそうな笑顔……見られて嬉しかった。
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