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第78話 さよなら
だんだん意識がなくなっていく。めまいがしてくる。でも俺の腕の中にはスケキヨ……よく見ると……遺骨の入ったアクセサリー2つとスケキヨの首輪につけていたアクセサリー1つが倉田の目の前に置いてある。……それも一緒に納められるのか?俺は霞む視界の中で一人一人の顔を見た。
倉田……ちゃらいお前にお経を読まれるとは思わなかった。なかなか仲良くならず最後を迎えたが、来世はもう少し仲良くなれるように心を開くよ。ありがとう。
李仁……美味しい酒と料理、ありがとうな。俺が予想するに、三葉とはただならぬ関係だったかもしれないがそこには触れない。仕事無理すんな、湊音と仲良くしろよ。そしてみんなが集まれる場をまた作ってくれ。
湊音……来年は三年の主任だってな。すごいじゃ無いか。剣道部も全国大会導いて立派な顧問になったな。桐生とはまた試合をやって仲を深めてくれ。悠子とその子供を見守ってくれ。
室田……色々と大変かもしれないが、応援してるぞ。心の友よ。また何かの形でお酒を飲めたら。
倫典……色々と迷惑をかけたな。わがままを聞いてくれてありがとう。そして子供……双子か。小さい頃の悠子のことをお世話したことがあるし、気配りができてムードメーカーなお前なら三葉のことも支えてやれるだろう。無理はするな。ありがとうな。本当に。後は任せた。
三葉……身体、大事にしてくれ。もう俺はいなくなるけど……倫典にたくさん愛してもらうんだ。幸せになれよ。いや、もう幸せか。
思い残すことはない。多分。もう。腕の中のスケキヨがあくびをした。起きたか?スケキヨが俺を見てる。……大丈夫、お前一人じゃないからな。一緒に逝こう。天国か地獄か……どっちでもいいさ、お前となら。
「和樹ー!」
あ、母さん……。
「たく、ようやく決心できたかね!早くしなさい。あらー、猫ちゃんも一緒。賑やかになるわぁー。あんたのじっちゃんばっちゃんもおるから。」
「うん。」
俺は母さんに腕を掴まれた。
さよなら。みんな。
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