92人が本棚に入れています
本棚に追加
「ヴァフィラ、いろいろと尋ねたいことがある」
「ヴーヴェスでは気の毒したな、ライファ」
先ほどまで、会議の主題の中心にいたライファ。
カーラーンからその地を、大切な仲間を守りきれなかった自責の念からか、終始押し黙ったままだった男を、ヴァフィラはいたわった。
人一倍正義感の強い男だ。さぞ辛い思いをしたに違いない。
だが、ライファは思いのほかさっぱりとした顔つきをしていた。
「彼らの死は、決して無駄にはしないつもりだ。今の俺は充分気が満ちている。心配ご無用」
凛と前を向いたまなざし。
さすが若き猛虎と呼ばれるだけはある、とヴァフィラは改めてライファを見直した。
しかし、その凛々しい顔が、ふと緩んだ。
最初のコメントを投稿しよう!