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俺にとってはギャルゲー
出来るだけ自然に距離を縮めるためにいろいろした。
手始めに下校を共にしようと誘ってみたり、次に登校をし始め、休日には当たり障りない程度にデートに誘ったりした。
諄(くど)くない程度にプレゼントもしたし、乙女ゲームならではの甘い台詞も吐いた。
所謂、黒歴史だ。しかし、咲夜との仲を修繕する為ならば厭わない。手段も選ばない!口説くためなら羞恥も捨てていた。
1日1回は絶対に褒めたし、昼食もできるだけ互いに用事のない日は共にした。帰りもほとんど一緒に過ごした。
それに伴って使えるものは使った。人であろうと何だろうと。仕事も任せられるものは任せ始めた。咲夜との時間を作るために。
最初こそ鷹斗が心境の変化を問うてきたくらいだ。
「倒れた時にいろいろ考えて何かいろいろと「もう、良いかな」ってなった。全てを1回おいて、見て来なかったことに目を向けてみようかと思った。独りで全て上手く出来るはずないって気づいた。」とその時に鷹斗に答えた。他の生徒会長メンバーにも同じような事を聞かれたが、同じように答えた。
これは俺(今の俺)が俺(前世の俺)を認識したときに思った事。嘘はない。
今、思えば距離をとろうとしていた事がバレているだろうこの状況で手始めにとはいえ、下校からとか全然、自然ではなかったと思う。
しかし、それらが功を成したのもまた事実。
最近ではよく可愛い表情を見せてくれるようになった。喜怒哀楽がわかるようになったというべきか。
如何に俺が咲夜を見ようとしてなかったのかよくわかる。俺の一挙手一投足に慌てたりする時もあるし、時には喜び時には拗ねたりする。
頬をピンクに染めて照れたように笑みを浮かべる姿なんて可愛すぎて心臓に悪いくらいだ。
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