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担任に呼び出され説得のもと教室に戻ってきたヒロインは渋々ではあったが本来の席に戻った。
不貞腐れている様子のヒロインに対して担任の苦虫を噛み潰したような顔が全てを物語っている。
担任が「くれぐれも問題行動を起こさないように!自分の発言や行動に責任を持って今後、いや、今からの学園生活をおくるように!」かなり強調してそう告げながらヒロインを目で牽制しているが、まるで聞いていないヒロインは品定めをするような目でクラスの令息をジロジロと不躾に見ている。
頭の痛そうな顔をしている担任に心で合掌をしておいた。それと同時にヒロインが咲夜と関わりませんようにと願う、、、が、その願いも次の休み時間には崩れ去ってしまったが、、、
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咲夜とクラスが離れてしまった為、俺から行こうかと席を立とうとすると開いている扉から咲夜が入ってきて真っ直ぐ俺の元へ来た。何て可愛い。直ぐにでも抱き締めて愛でてしまいたいが理性を働かせ寸前のところで耐えた!やれば出来る子、俺!
内心自分を褒め称えていると、視界にヒロインがクラスの令息にモーションをかけている現場を入れてしまった。迷惑そうにしている令息に対して「私、入ったばかりで~わからないんです~」と猫なで声を全快にして然り気無くを装ってはいるのだろうな。本人のなかでは。端から見れば大胆に腕にしなだれかかり話しかけているようにしか見えない。周りもドン引きしているが気づいていない様子だ。どこの娼婦だよ。
「非常識すぎますよ。特待生の朝比奈さん、であっていますよね?相手の方が困っているではありませんか。」と何時の間にやら注意しに行ってしまっている。でもその口調は諭すように優しく言い聞かせているようで、表情は困りましたねとでも言いたそうだった。内心かなり慌てていたが、無様に見えないように席を立ち咲夜の元へ行く俺、、、
なんと情けない、、、
だが、俺はそんなことおくびにも出さずにヒロインから護るぜ!と内心、意気込んで咲夜の隣に佇んだ。
咲夜を見て大袈裟に怯えた顔をしてわざとらしく目に涙をため俺を見る。見んな!
「私はただ、仲良くしていただけなんです。何でそんなに酷いこと言うんですか!酷いです!」一般家庭だからってバカにしてるんですか!?と涙ながらに訴えているが、何でそこまで飛躍的に話がブッ飛んでしまうのか分からない。周りからも「バカにした発言したか?」「いや、してない。」「関わるとヤバいヤツだなアレは」などとヒソヒソ言っているのが聞こえてきている。
「仲良くしているように見えなかったのだがな。寧ろ私にも困っているように見えた。今日、会ったばかりなのにその距離は不自然ではないのか?それに咲夜は君をバカにしていない。先程の言葉のどこにバカにする発言があった?」と咲夜の肩を優しく撫でながら無表情でヒロインを見据え告げると信じられないとばかりに目を見開いて固まっている。
まぁ、ゲーム上、俺は咲夜を疎ましく思っており距離を置いていたのだから肩を優しく撫でるなんてあり得ない光景だろう。ゲームならな。ここは現実なんだよ。
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