87人が本棚に入れています
本棚に追加
勿論、思い出す前も婚約者としての責務はしっかり果たしていたぞ。義務的ではあるが優しく接していたし、今回も顔には出してないけど不承不承ながら散歩に誘われたので庭園に赴いていた。
まぁ、最近、咲夜の態度も緩和してきていたのもあるのだろうけど。嫌気さしたままならやんわり断っているはずだ。
その途中で、激しい頭痛に襲われ意識が暗転したのだ。
そして、思い出した。
前世の事を。
容姿は普通。
頭は良かった。
記憶力もある方だった。
身長もそこそこあった。
黙っていると冷たい印象を受けるが、話してみるとそうでもないと言われていた。
性格は見た目に反してチキンなだけだった。
それなりに出世もした。
お腹は割れていなかったが、それなりに引き締まってはいた。
趣味は魚釣りと料理でそんな俺には上に姉がいた。
姉も独身でよく俺の家に上がり込んで、好き勝手に過ごし、いろいろなゲームをしていたが、恋愛シミュレーションゲーム所謂乙女ゲームというやつを特に好んでプレイしていた。
旦那は2次元以外あり得ない。と公言していた。
それを聞いて思わず鼻で笑って殴られた事もある。
地味に痛かった。
しかも、俺の家に上がり込んできていた理由が自分の家だと電気代がかかるという事。
弱味を握られていなかったら追い出していたくらいにはムカついていた。
全部、強制的だったが。いろいろな乙女ゲームを見せられ、聞いてもいないのに熱く語り始める(話を聞いていないとキレられた事もある。)時には声が似てるとかよくわからない理由でアフレコもやらされた。
アレは精神的に殺られた。
その上をいく出来事がある。
アフレコはまだ可愛いものだった。
ゲームを押し付けられてプレイさせられた事もある。
何が悲しくて男に甘い言葉を囁かれなくてはならないのか。アレはかなり嫌悪したな。嫌な意味での鳥肌が凄かった。
ゲームの音を消してスマホで攻略サイトを見ながら早送りプレイをしたものだ。
いくつかソレに対応してなかったものもあったが、音だけは消すことは出来たので、そうやってプレイした記憶もある。
その間、自分は友だちと旅行だもんな。
全くもっていただけない。
ゲームを押し付け、自分は旅行だ。という行為が1回ではなかった。何回か繰り返されていたな。
何か姉にたいしてよろしくない記憶ばかりを思い出してしまうな。
頭の中で記憶をさらに進めていくと、俺が海外出張に行った帰りの飛行機が墜落したのを最後に記憶が途切れている。
死因は十中八九コレだな。
良くも悪くも生まれ変わったこの世界にも飛行機がある。
Post Traumatic Stress Disorder
心的外傷後ストレス障害
通称【PTSD】が起きないか不安である。
*
最初のコメントを投稿しよう!