前世を思い出しました

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溜め息と共にフと視線を横に向けると豪勢な造りで出来ている硝子の両開きの扉がついた棚が視界に入ってきた。 それはピカピカに磨かれていたので必然的に俺の姿も映し出された。 おぉ、凄いイケメンだ! 前世ではフツメンだと思っていた自分が恥ずかしいと思えるくらいにイケメンだ! と興奮していたが、この顔を見て思い出した。 この顔、前世で見たことある。 しかも、乙女ゲーム。やらされたゲームだ。 かなり人気があったゲームで攻略対象も他のゲームの比ではないくらいにイケメン揃い。 声優も豪華で、ファンディスクも発売されていたはずだ。 海外出張から帰国したらやらされていたかもしれないゲームだ。 ファンディスクに限っては公式設定しか覚えてない。 それも姉が興奮ぎみに口頭で説明してきただけだから粗があると思う。 まぁ、今はそんなこと置いといて、、、 現状把握からいこうか。 伊集院 鴒二、俺な。次男で長男の兄が響。 婚約者は桜刃 咲夜。その兄、俺のお義兄さんと呼ぶべき人が鷲夜。 学園の理事長の孫。 成績はトップで「冷血漢」やら「暴君」やら呼ばれており、目をつけられたら最期。だとも言われている人だ。 常に冷静で無表情。 たまに見せる笑みは、底冷えするほどのものだとか。 男子からの信頼が特に厚く。女子の隠れファンが結構いる。泣かされた女は星の数とか、、、逸話が絶えない。 妹の咲夜は可憐で美女。成績優秀。品行方正。礼儀に厳しく、誰にでも平等。男女共に人気がある。 兄である響は天才だった。期待もかなりされていた。鴒二である俺も期待されていたが、兄みたいな天才タイプではなかったため、家族以外の伊集院家、親密な関係者から白い目で見られていた。 婚約の話しも多数、来ていたが、全て断っていた。 咲夜との婚約の話しも断ったようだ。 同等権力の結束を持ってより強くする為の打診だったようで、桜刃本家や伊集院本家というよりは周りが進めていったと言った方が正解かもしれない。 本当なら俺ではなく兄である響の婚約者になるはずだった。 兄が断ったから俺に白羽の矢が立ったのだ。 その事も禍してか、咲夜への態度が義務的な優しさでしか接していなかった。 両家とも引けないとこまで来てしまい、婚約に至った。 *
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