#02 404 Not Found

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#02 404 Not Found

 この世界では、傘を持たずに外を行く者など居ない。  居るとすればそれは……   「よ……よんまるよん?」  不明者……404と呼ばれる者ぐらいだった。   「お、おいオマエ! か、傘はどうした? 本当に……404なのか!?」  404とは、雨に打たれて狂った人間の姿だとも、世界を破壊するテロリストだとも、異世界からの訪問者だとも言われていた。いずれにしても……招かれざる客、出会いたくない存在だ。 「……来て……一緒に……」 「え? ――女?」  その声は少女の声のようだった。 「来て零士……ワタシと……」  そして零士の名を呼ぶと……  ――ドサッ  声の(ぬし)は倒れてしまった。  外れたフードの中からは怪物でもなんでもない、少女の顔が現れた。  ――透き通るように白い頬に、雨がぶつかりノイズがはねている。 「に、逃げようよ……」 「陽子……それマジで言ってんの?」 「………ゴ、ゴメン……そうだね。そうだよね。ダメだよね」  不明者(404)と関わることは禁止されていた。発見した場合、直ちに電脳警察――通称ペンギンに通報することを義務付けられている。 「じゃ、じゃあ通報しないと……だね」 「そーじゃなくて……こいつ……俺の名前を呼んだよな?」 「え? あ……う、うん……」  陽子は恐れた。不明者(404)とその関係者は電脳警察(ペンギン)に連れていかれる。そして……電脳警察に捕まったものは戻ってこないと噂されていたからだ。 「そっか……そうだな……陽子、オマエは無関係だ。帰れよ。オマエまで巻き込まれちまう」  零士は無人配送車(シャトル)を捕まえると少女を押し込んだ。 「で、でも……」 「迷ってる暇はねー、すぐにペンギンが来るはずだ」  零士がシャトルに乗り込み、陽子を帰らそうとした。しかし、別の意味で時間がなかった――  ――その(ドール)、返してもらおうか  声がした。  ふりかえれば、全身黒い服装の者――数人がシャトルを取り囲んでいた。
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