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星も暑いと思うの
「お星さまも瑠奈みたいに、傘をさしたいと思うの」
母親から譲ってもらった白い日傘をくるくる回しながら、
幼い娘は笑いながら言った。
科学者である花村祐樹は、娘の言葉を笑顔で受け止めた。
それは幼女らしい他愛ない思い付きであった。
祐樹はふと思った。それもまた科学者らしい、小さな疑問だった。
「瑠奈、どうしてだい?」
「だって、お星さまもきっと熱いと思うの。日傘をさしてくれたら
熱さが少し楽になるでしょ?」
しばし考え込んだ祐樹は、天を仰いで立ち上がった。
「それだ……!!」
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