8人が本棚に入れています
本棚に追加
温暖化
2☓☓☓年、地球の温暖化はさらに深刻なものとなっていた。
とりわけ異常な暑さが人々を苦しめ、死亡者も増えている。
世界中で議論となり、様々な対策を練って対応してきたが、
いまだ有効な手立ては確立できていなかったのである。
そこで世界中の名立たる科学者や物理学者、医学者など
世界の頭脳ともいうべき人々が一同に集まり、地球を守るための
会議が行われていた。様々な仮設が立てられ熱論は交わされるものの、
それぞれの国の思惑もあってか、議論はまとまらなかった。
日本の科学者である花村佑樹も、会議に出席していたが
進展しない会議に苛立ちを覚えていた。
「こうしている間にも、人々は苦しんでいるのに」
花村はある日、幼い娘瑠奈を連れて散歩に出た。夕刻とはいえ
まだ暑く、日傘は必要だった。
「パパ、あたしの日傘をさしてもいい?」
「いいよ」
瑠奈は母から白い日傘を譲ってもらったので、使ってみたくて
たまらなかったのだ。散歩の目的地は娘の希望で広い公園だった。
周囲に人がいないことを確認すると、瑠奈は日傘をくるくる回しながら
踊った。白い日傘と同じ、フリルのワンピースがくるくると
機嫌良く空中を舞う。瑠奈はとても楽しそうだ。
ワンピースを汚したら妻に怒られるなぁ、などと思いながら
花村は愛娘の遊びを見守った。
「お星さまも、瑠奈みたいに日傘をさしたらいいと思うの。
そしたらお星さまも暑さが少し楽になるでしょ?」
それは幼い娘の思い付きであった。
花村は幼い娘の子供らしい発想を原点に、ある計画を
発案するのだった。
最初のコメントを投稿しよう!