温暖化

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温暖化

 2☓☓☓年、地球の温暖化はさらに深刻なものとなっていた。 とりわけ異常な暑さが人々を苦しめ、死亡者も増えている。  世界中で議論となり、様々な対策を練って対応してきたが、 いまだ有効な手立ては確立できていなかったのである。    そこで世界中の名立たる科学者や物理学者、医学者など 世界の頭脳ともいうべき人々が一同に集まり、地球を守るための 会議が行われていた。様々な仮設が立てられ熱論は交わされるものの、 それぞれの国の思惑もあってか、議論はまとまらなかった。  日本の科学者である花村佑樹も、会議に出席していたが 進展しない会議に苛立ちを覚えていた。 「こうしている間にも、人々は苦しんでいるのに」    花村はある日、幼い娘瑠奈(るな)を連れて散歩に出た。夕刻とはいえ まだ暑く、日傘は必要だった。 「パパ、あたしの日傘をさしてもいい?」 「いいよ」  瑠奈は母から白い日傘を譲ってもらったので、使ってみたくて たまらなかったのだ。散歩の目的地は娘の希望で広い公園だった。 周囲に人がいないことを確認すると、瑠奈は日傘をくるくる回しながら 踊った。白い日傘と同じ、フリルのワンピースがくるくると 機嫌良く空中を舞う。瑠奈はとても楽しそうだ。  ワンピースを汚したら妻に怒られるなぁ、などと思いながら 花村は愛娘の遊びを見守った。 「お星さまも、瑠奈みたいに日傘をさしたらいいと思うの。 そしたらお星さまも暑さが少し楽になるでしょ?」  それは幼い娘の思い付きであった。  花村は幼い娘の子供らしい発想を原点に、ある計画を 発案するのだった。  
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