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僕はあの人に手紙を書いている。まあ厳密に言えばヒトではない。
「あんな、メスのどこがいいんだよ。胸は小っちゃいし、胴は太いし」フクロウのフックが勝手に窓から入ってきて言う。
「ぼくあの子の乳がどこにあるかも知らないんだぜ。セックスが目的じゃないよ」
フックは首を傾げた。
「すると、アブノーマルなプレイを望んでいるというわけじゃないんだな」
「ああ、純粋な恋さ。なんか照れくさいな」僕は恥ずかしくて少し笑ってしまった。
「向こうは気があるのか」
「たぶんね、最近あなたが気になってしょうがないのよって悩ましそうに言ってたよ」
「悩ましそうに…」フックは怪訝そうな顔をした。
「恋ってのは時として悩ましいものさ」
「もしかしたら気になっているっていうのは、君の思っているような意味ではないかもしれないよ。」
「女の気になっているイコール恋だろ」僕は何の迷いもなく言った。
「言いにくいが、君は食の対象として見られているんじゃないかな」
「そうかな、僕はそうは思わないけど。あの娘が僕を見る目はいつもうっとりしてるよ」僕は少し怒った。
「君は焼きたてのステーキを見てうっとりしないかい?」フックの声は僕を説得するような調子になっていた。
手紙を書いていた鉛筆の芯がおれた。
「僕を怒らせたいだけなら帰ってくれ、君の望み通り僕は十分怒った」
フックはしょんぼりした顔をした。
「そういうつもりじゃなかったんだ」そう言ってフックは窓から出て行った。
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