夏祭り

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夏祭り

夏休みが始まる終業式の日から3日間、いつもの神社でお祭りが開かれる。 私はいつものメンバーと夏祭りに行く約束をしていた。 でも通知表をみて、深い深い溜息をついた。 これは……。お母さん絶対に怒るなぁ……。 もしかしたら、優しいお父さんも怒るかもしれないなぁ……。 楽しい夏休みの前なのに、こんなに気が重くさせる通知表が憎らしい。 こんなのなければ、楽しいことばかりなのに……。 通知表の嫌な暗い気持ちとお祭りが楽しみで嬉しい気持ちが混ざり合って変な気分。 家には浴衣を着るからとおばあちゃんが浴衣を作って持って来てくれていた。 私は白くて、赤い金魚が泳いでいる浴衣を着て、金魚と同じ色の真っ赤な兵児帯結んでもらった。 ふふっ。お尻の方で赤いふわふわの帯がまるで金魚の尾っぽみたい。 おばあちゃんは、赤い小さな縮緬の髪飾りも準備してくれていて、私の耳の近くでパチンと留めてくれた。私は帯のふわふわと髪飾りのゆらゆらが嬉しくて、暫くお尻と頭をふりふり揺らしていた。 「おばあちゃん、ありがとう!! おばあちゃんセンスいいねっ!!」 と言うと 「センス? おばあちゃん、ふうちゃんに褒められて嬉しいわ〜〜!!」 そして「ママにはナイショ!」と言って500円をくれた。 私は小さな巾着に皆んなで相談して決めたお小遣い1200円を入れて神社へ向かった。 500円は机の引き出しにこっそりしまっておいた。
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