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陽菜がこの世を去ってから、そして僕たちが前に進み始めてから、二人の計らいにより毎年彼女の命日である九月のこの日に「長月会」と称して飲み会を開催するようになった。
透子ちゃんが僕と出会った事で間接的ではあるけれど、陽菜がこの世を去る原因を作ってしまったのではないかと苦しんでいた事も、後に河野から聴かされた。
一体僕は何をしていたんだ。
一体僕は何がしたかったんだ。
現実を受け止めることから逃げ出した僕の2年間は、ただの自己完結と我田引水でしかなくて、この街で陽菜の死を感じながら生きてきた3人とは時の流れに明らかな差異があった。
取り返すことが出来ない沢山の大切な時間を無駄にしてしまったのかもしれない。
だけどそれを埋める事に躍起になってはいけないのだと。
僕たちが生きているのは、今、この一瞬であって。
振り返る過去に、生かされてる訳じゃない。
そう気付くことが出来たのは、この3人のおかげだと思うのだ。
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