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僕たちの選択
彼女を置いてけぼりにしたまま、五度目の夏が過ぎようとしていた。
僕らは少しずつ大人になるための坂道を上りながら、時々後ろを振り向いたり、転んだりして、どうにかこうにか未来に向かって歩き出している。
だけど、記憶の中は靄がかった笑顔しか思い出せない日々が増えていて、その度小さな欠片ひとつ取り零さないように、胸の深いところに刻みつける。
大人になれない彼女の分と。
振り返れないあいつの分を。
僕らが、明日へと連れて行くために。
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