4.

1/1
前へ
/11ページ
次へ

4.

 寒空から雪がしんしんと降り始めました。公園のブランコの安全柵に、置き忘れたビニール傘がかけてあります。すると、降りしきる雪の中から、ずんぐりむっくりとした奇妙な風体の影が傘の前に浮かび上がりました。影は、微かに微笑を浮かべ(誰かこの場に人が居たのなら、そう思ったでしょう)ゆっくりとまるで雪が溶けていくように闇夜に消えていきました。そして、柵に立てかけてあったビニール傘もまた、まるで最初から存在していなかったように消え去っていました。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加