3028人が本棚に入れています
本棚に追加
真琴の話によると
自転車で買い物に行く途中
左折してきた車に、巻き込まれてしまった
冬だったから、厚着をしていたので
打ち身程度で済んだけど
事故の記憶がない
どうやら無意識に、航平の名前を呼んでいた
らしく、事故の相手が真琴の携帯から
航平に連絡をした
頭は打ってないかもしれないけど
事故の記憶がないのは心配だから
年末年始は、安静にするように言われた
『なぜか、顎の下を切ってね
縫ったんだよ』
年明け、抜糸があるし
真琴のお姉さんが、出産したばかりだし
実家には帰れない
『航平くんが、俺のアパートで安静にしてろ
って……』
『航平はどう?』
『部屋は、別人っていうくらいキレイだよ』
爽やかな大学生の部屋って感じだって
実際は、爽やかさなんか欠片もないけど
『ご飯も作ってくれる
何か手伝おうとすると、安静にしてろって
怒られる』
航平なりの、愛情表現なんだな
『ねぇ綾ちゃん…私ここにいていいのかな?』
『いいに決まっているじゃん
航平のこと、コキつかいな』
真琴がこの時
この航平の変わり様が、他に彼女がいると
思っていたことを知ったのは、年が明けてから
航平に、女なんかできる訳ないじゃん
あいつは、真琴だけなんだから
最初のコメントを投稿しよう!