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バイバイしてから別れると、わたしは元来た道を引き返す。忘れようとしても離婚の言葉が頭から離れない。どうしよう。知佳ちゃんに相談してみようか。 帰ってから直ぐに部屋に行き電話を掛ける。 「恵美香ー。夕飯は?」 母が心配をする。 「ああ、知佳ちゃんと電話したら直ぐに行く」 わたしは階下に向かって叫んだ。 「もしもし、恵美香?どうしたの」 「知佳ちゃんに相談があるの」 「なになに修学旅行から帰って早々」 「ビックリしないで聞いてね、実は家のお母さんね、お父さんと離婚したいんだって」 「う、嘘でしょ、まさか」 「何だかね、お父さんの会社危ないんだって、それにお母さん好きな人が出来たって、お母さんが私を引き取るって言うの」 「うそー。恵美香のお父さんって凄いカッコいいんでしょ」 「うん」 わたしは見えない知佳ちゃんに向かって大きく頷く。 「お母さんの悪い冗談なんじゃない?」 「そうだよね」 わたしはまた涙が溢れて来たのが解る。どうしよう。父と離れるのは嫌だ。 「兎に角、月曜日詳しく話は聞くよ。元気だして。ねっ」 「うん。それからそうだ。今日上田君が家に来たよ」 「えー。急じゃない。恵美香ったら忙しいんだね」 「うん。家族皆でテレビゲームした」 「それなら、それこそ離婚は嘘だよ」 知佳ちゃんが電話の向こうで引き攣り笑いをしたのが解る。わたしもちょっとだけ笑ってしまった。 わたしはそれから、眠れず考え込んでしまう。離婚、離婚、ああ嫌だ。知佳ちゃんの言う通り嘘であってほしい。 それから、時計の針が1時を回る。夜更けに1人で考え込んでいるのが辛くて、皆が寝静まったのを確認すると、冷蔵庫から父のビールを取り出した。 えーい。やけ酒だ。少し飲んでみよう。それにお父さんは高校の時、普通にお酒飲んだって言っていた。わたしはビールをゴクゴクと一気に飲んだ。
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