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「ちょっと話があるんだけど」 修学旅行の最終日前日、お昼御飯が食べ終わった後、わたしは隣のクラスの女子に呼び出される。 「なに?話って?」 「単刀直入に言うけれど、上田君と付き合ってるの?」 わたしはビックリする。あまりの不躾さに腹がたって、無視をして踵を返し、仲良しグループの中に入ろうとした。 「ちょっと待ってよ。この子、ほんとに上田君の事が好きなの。その気がないなら、これ以上上田君を弄ばないでよ」 弄ぶ?それは人聞きが悪い。わたしは友達として一緒にいるだけなのに。だがこの子と指された女の子は恨めしそうな目でわたしを見上げる。 そんなに大事なら首に縄でもかけて捕まえておけばいいじゃない。 そう思うが気の弱いわたしは口にだして言えない。 「わかった」 わたしはそう言うと、知佳ちゃんたちが入っていったカフェの自動ドアに向かって歩いていった。 そうこうしているうちに、5泊6日の修学旅行も終わりになる。帰りは荷物が多いので必要最低限のものだけ自分で持って帰る事にして後は宅急便で送った。 バスはスルリと新千歳空港に着いた。 「皆さん、長い旅お疲れ様でした。これで皆とお別れだと思うと寂しくなります。6日間有難う御座いました」 ガイドの木田さんが挨拶をする。わたしは名残り惜しくなって少し寂しく苦しくなった。それからわたし達仲良しグループは買い足りないお土産を買う為、空港のお土産屋さんに入る。 そうだ。ロイズのチョコレート。 わたしは父に頼まれていたお土産を今になって思い出した。 お土産屋さんを見て回ると、ロイズのチョコレートは案外簡単に見つかって色々な種類があった。 「どのチョコレートが人気ですか?」 店員さんに聞いてみる。 「こちらは高校生に人気ですよ」 「友達にじゃなくてお父さんになんです」 わたしは赤くなってから言った。
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