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部屋の掃除はしたものの上田君は2階に上がらず、ずっと1階のリビングに居た。わたしもその方が有難かった。1階のテレビには皆で遊べる様にゲーム機が付いている。皆で順番にゲームをして遊んだ。 「楽しくて仲の良い家族ですね。羨ましいな」 「え、上田君の家は仲が悪いの?」 「ううん。悪い訳じゃないけど、こうしてゲームをする事なんか無いよ」 ああ、でもこの関係ももう直ぐ離婚によって崩壊してしまうかもしれないのだ。わたしは肩を落とした。 「どうしたの、恵美子ちゃん、しょぼんとして」 「な、何でもない。上田君はゲームうまいね」 わたしは話を誤魔化す。楽しい時間は早く過ぎ、直ぐに夕方になった。 「夕ご飯食べていく?」 「えっ。でも今日は初めて来たんだし、あまり長居しちゃ悪いから僕は帰るよ」 「そう?それなら駅まで送ってく」 わたしは立ち上がってから玄関に向かって歩き出した。上田君は後を着いてきた。 「今日は楽しかったー」 「うん。わたしも」 「恵美香ちゃんに誘って貰えるとは思わなかったので凄くうれしかったよ」 上田君が駅に着く手前で立ち止まる。ヤバい。この雰囲気は苦手だ。わたしはスッと速足で駅に向かって歩きだす。 「ちょっと待ってよ」 上田君が追いかけて来た。
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