源三郎江戸日記(弟五部)

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源三郎江戸日記(弟五部)5 殿は着るものは木綿、食うのは光物等が好物ですから、全然困りませぬなあと言うので、旗本は何に贅沢しているのですかと聞くので、タイやヒラメ、屏風、賭け塾、陶磁器等の美術品、 着物、羽織、袴、差し料、上役への賂が一番多いじあろう、そうか、実は賂防止の為ですねと言うので、そうじあよ、しかし、どうやって制限するのじあろうかと言うと、上様の事で、 す、 賂禁止と書きますよと言うと、なればそれだけで良いではないかと言うと、それはいままでもやっていますよ、賂は金ではなく美術品が多いのでしょうと言うと、そうかも知れぬな特に、 掛け軸、反物じあろうと言ったのです、まてよ、城中で出す食べ物もこの際一汁一菜にするつもりなのじあよ、上様は長らく微禄の家臣の家に預けられていたので、粗食に慣れておられ、 るのじあよ、 それに紀州藩主におなりになった時、財政破綻寸前で立て直すのに苦労されているからな、今度は400万石をやらねばならぬのじあ、将軍になった喜びよりも、憂鬱の方が多いのじあ、 な、わしを道ずれになさる積もりじあ、何とか逃げる方法を考えよう、巡察にでかけていれば災いには会わぬじあろう、よし、北国の巡察を早めようと言うと、上様は逃がしやしませ、 んよと2人が笑ったのです、 こんな時に限って江戸に騒動が持ち上がったりするのではとエミが言うので、脅かすなよと言ってる先から、腰元が三蔵親分が来てなさりますがと言うので、まいったな、来やがったよ、 仕方ない通してくれと言うと、部屋に入って来たので、何か事件かと聞くと、ご機嫌斜めですねと言うので、早く言うのじあと催促すると、徳山新太郎様をお連れしましたと言うので、 そのような人は知らぬぞと言うと、 徳山新太郎じあよと部屋に入って来たので、これは上様政務はどうされたのですかと平伏すると、おあきとエミも愕いて平伏したのです、忍びじあよ手を上げよと言って、将軍とは窮屈、 なもんじあな、わしにも息抜きさせよ、城を抜け出てきたのじあと着流しの格好をしています、護衛はどうされたのですかと聞くと、大岡の処にいるわと言うので、曲者がいたらどう、 するのですかと聞くと、 そなたが護衛であろうと笑い、奥方かと聞くので、あきにエミに御座いますと言うと、吉宗じあ源三郎には昔から世話になっておる、しばし、借りるぞ、茶を一杯馳走してくれと言うの、 で2人がこれは失礼しましたと部屋を出て行ったのです、紀州藩主の時も時々町に出ておったのじあよと言うので、今日はどちらにと聞くので、深川あたりを案内してくれと言うので、 承知しましたと言うと、 三蔵が船はまたしてあります、あっしはこれでと言うと帰っていったのです、おあきが茶をもって来たので一口飲み、ほう、中々美味い茶じあなと言うと、粗茶に御座りますと言うので、 何処の産じあと聞くので、米沢に御座りますと言うと、ほう米沢は茶も名産かと聞くので、ハイ、旦那様が上杉におられた時に奨励されたので御座りますと言うと、そうか、これなら、 高値で売れるじあろうと言うので、 明日にでも献上しますと言うと、それは有難い、緊縮財政なんて言うたら、まずい茶を出しおったわ、わしが言い出したので文句も言えぬからのうと笑ったのです、それでは行くぞと言、 うので、船着場に行き船に乗り深川に向ったのです、倹約令は上手くいかぬかのうと言うので、おあきが言うたことを話すと、なる程それは良いな、そうすれば絹生産者も困らぬじあろ、 う、 長崎の源四郎に言うて外国にも沢山売りつけるようにしてくれ、先ずは生糸からじあな、次はギヤマンと輸入していたものを輸出するようにして欲しいのじあと言うので、承知しました、 と言うと、あとは川越あたりで、芋を沢山栽培してくれ、飢饉対策じあ、幕臣に青木昆陽と言うものがいる、今薩摩に行かせて、芋栽培を取得させておる、来月には帰ってくるじあろう、 と言うので、 賢明な策ですと言うと、何を言うか総てそなたが言うていた事を実行しているだけじあ、みんなわしの策じあと思うているわと笑ったのです、深川に着いたので船を降りて、まずは八幡、 様にいきましょうと、深川八幡にお参りして、茶店に入り、甘いものは大丈夫ですかと聞くと、わしは、両党づかいじあよと言うので、くずきりを頼んだのです、中々美味いなと吉宗が、 喜んでのです、 茶店を出て町を歩くと、深川も大きな町になったなと言うので、千両敷きももう一杯に建物が建っています、すでに府内ですよと言って、屋敷にいきますかと言うと、いや、今日は、 町の巡察じあと言うので、それでは居酒屋にいきましょうと言ってノレンを潜り小上がりに上がると、おみちがいらっしゃい今日はこちらさんが払うのかいと言うので、徳山新之助殿、 じあ、 金はもっていないので、誰かくるじあろうと言うと、徳山じあ宜しくなと言うと、初めてだね、おみちです宜しくと言って、酒といわしを出して酌をしたので杯を重ねたのです、いわし、 は大丈夫ですかと言うと、昔はようくうたぞと言って箸をつけて、よう油が載っておる美味いぞと喜んだのです、居酒屋に入るのは初めてじあ、みんな楽しそうに飲んでおるな、平穏で、 良い事じあなと言ったのです、 酌をしょうとすると、手酌でやるから気はつかわんでも良いと言うので、しからば、手酌でと言ったのです、よう、城から出られましたなと言うと、実は秘密の抜け道があるのじあよ、 そこを通れば堀の下を通りし清水門外の寺に出るのじあ、そこの裏手に船がつないであり、船にのればどこにも自由にいけるぞと言うので、そうですか、しかし、嘉納殿が大騒ぎして、 いますよと言うと、 言うてあるので大丈夫じあと言うので、先程の船頭はお庭番ですね、この下にも1人おりますよと言うと、中々するどいな、紀州根来の者じあ、こんど紀州からわし直属として連れて、 来たのじあ、幕府の隠密は若年寄り差配じあからな、このもの達が全国の情報を知らせる事になっているが、仕置きは出来ぬので、諸国巡察視のそなたに頼みたいのじあと言うと、 鳥追いが入って来て、 旦那一曲と言うので、おう、やってくれと頼むと、三味線を引き歌いでしたのです、歌い終わったので2分を渡すと、有難うございますというので、ここに来て一杯飲めと酌をすると、 飲み干したので、根来の忍びじあな名は何と言うと聞くと、かえでといいます、上様の繋ぎをやらせて頂きますと言うので、根来の飛猿を知っておるかと聞くと、ハイ、そこに潜んで、 いなさりますと言うので、 飛猿と言うと店に入って来たので座らせると、これが私の手の者ですと言うと、おう、飛猿かかえでと知り合いじあそうじあな宜しくなと吉宗が言うと、承知しました、かえで暫く、 じあなと飛猿が言うと、こんどは一緒に仕事が出来ますと言って、それではと、二人は出て行ったのです、山田新之助には会いましたかと聞くと、おう、あ奴の名前を借りているの、 じあよ、
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